霧雨で見えない…

湯気があまりにも凄すぎて何も見えない温浴施設に行った。本当に何も何も見えなくて、こういうとき人は案外焦るのだということを知った。少し呼吸困難に

何も見えないことに慣れてからは結構気分が良くて、うつつの中で最も夢に近い部分にいるような、全てのことが遠ざかる感覚にあった。湯気は霧のようでもあり、中2の頃学校行事で行った登山で遭った朝霧(山頂付近で視界が狭まりとっても死ぬかと思った)が思い出される。しかしそんな自分すら遠く、ここにあるのはただモアァ…と、その向こうにほのか見えるオレンジの、灯り…?のみ。思い出すだけで少しぞくぞくするようなイメージを手に入れた。やった。

そういえばお客も自分以外ほとんどいなかった。あれはもうすでに遠い、冬の日のマ・ヴォ・ロ・シ。

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