月別: 2020年6月

ノゼ

両親から直接教わったことの中でも印象深いものの一つが鼻毛カッターで、主に母がことあるごとに「鼻毛だけは切らないといけないよ」「鼻毛が出てるだけでアウトだよ」「何は無くとも鼻毛カッター」と繰り返してきたため、鼻毛カッターというものが極めて重要なアイテムであると思い込みながら育ってきた。母は上京の際の餞別品にもきっちり鼻毛カッターを忍ばせてくれたのでなかなか嬉しかったのだが、しかし東京にきて友人のいる前でカッターをヴィーンしたところ「お前、そんなもの使うのか」と大層驚かれたので、こっちも驚いた。じゃあお前さんは使わないのか、鼻毛とどう付き合っているんだ…?と聞いたところ生まれてから一度も使ったことがないということで、そんなもの使わなくても困らない程度の鼻毛しか生えていない=鼻から出てきたことはないらしかった。愕然とした。自分は出る側の人間なのだということを初めて知った。そしてその後もしばしばカッターをヴィーンしてるところを人に見られては訝しまれたり奇異の目で見られたりしてきたので、なんだか自分はすごく少数派なんだなと、月に一度か二度ほどヴィーンする際にしんみり思う。

今使っているカッターは母がくれた奴が壊れてしまったあと自分で買った二号機で、2年前に買った充電式のものだったのだが今の今まで一度も充電が切れたことがなく毎回不思議だった。そんなに強いことがあるか、こいつ本当は何か隠しているんじゃないか?

そんなカッターの充電がさっき初めて切れた。少し感動した。右鼻から始めて右の中で死んだので、左がまだ残っている今、このやや恥ずかしい状況について、誰も知らない。

6月中旬の告知×3

例年なら梅雨は一番というか唯一の仇敵的季節であり、待てども引かない雲に次ぐ雲は「垂れ込める」という動詞が意味するところをこれでもかというほどに教えてくる。晴れの復権を望みながら空を睨む自分の目は、いつの間にこんな子になってしまったのかというくらいどぎつかったものですが。

今年はどうしようもなく身体と世の中のバランス、折り合いみたいなものが悪いのであまり抵抗の気も起きない。雨が降ったらああ雨か、雨が続いたらああずっと雨かとそれくらい、不感症の季節。張り合いのないこと。最近は自転車を漕いでいる時しか生きている実感を得られないのでずっと漕いでいるけど、なんだか車輪が地面についていないような気もする。それでも走るとすごく気持ち良くて、大好き!となるので本当に今一番感謝したい人は自転車を作ろうとした人かもしれない。よくもまああんなものを。

告知①

もう昨日のことですが、6/17にSouth Penguinのニュー・シングル”bubbles/mad love”が7インチレコードと配信でリリースされました。

https://smarturl.it/southpenguin_bubbles

改めて聴くと音の質感がすごくいいです。プレイヤー8人と録音の葛西さん、ポストプロダクションの岡田さんの全員の力が緊密に張ってるようです。ジャケもおすすめ、気に入った方はレコードもぜひ!

告知②

6/21(日)の夜に久々の生ライブを行います。田上碧さん(Voice)との二人組で、場所は水道橋のフタリ(https://www.ftarri.com/suidobashi/)です。もともと台湾から音楽家の方をお一人迎えて三人組でやる予定でしたがこんなことになってしまったので二人です。感染のリスクは依然ある中ですが、しかしもともと生でお客を集めて公演を行うのがその本懐である音楽産業は、そうおいそれと配信ライブに移行できるわけではない=どうにかしてこの状況下で生の公演を継続させる必要がある(それは飲食店をはじめとした多くの生の産業と同じように)と思います。もちろん長期間の活動停止に耐えうる補償がなされて安心してずっと休めるならそっちの方がいいとも思いますが、しかしそれにも様々な限界があるので、対策を怠らずに少しずつできることを再開していくのは今実は最善の策なのかもしれない。とはいえ公演規模を縮小せざるを得ない中での営業にも経済的限界があるので、そこを行政とどう協同していけるかが鍵なのだろうか。個人的にはやっぱり財政の底に関する情報開示が十分になされないと、本当に出せないのかそれとも出し惜しんでいるのかわからないのが結構問題に思う。そして公文書をガンガン捨てるような政権に信頼度があるわけもないので、どうしても疑わざるを得ないこの状況は本当に辛い。真っ当なことが行われてほしい。

話が逸れましたが6/21(日)のライブは19:30開場20:00開演でチケット2000円です。感染症対策として完全予約制で10名様限定となっております。「店内ではマスク着用をお願いいたします」とのことです。体調が少しでも優れない方は(予約後でも遠慮なく)キャンセルをお願いいたします。

来てくださる方は自分に直接連絡していただくか、info@ftarri.com 宛に氏名、人数、電話番号をお送りください。CDストアでもあるフタリには物凄い量の実験/即興系音源が揃っていたりして、それもとても楽しいです。

内容は即興演奏(制限あり/なし)のほか、田上さんに自分の書いたテキストを読んでもらう演目、田上さんのレパートリーなど色々やる予定です。結構テキストを扱うことに焦点を当てることになりそうで、田上さんの縦横無尽で懐深い声のありようを是非ご覧になっていただきたい。これは田上さんが今年の2月にやっていたパフォーマンスで、題名通り伸び縮みがすごく、全ての出音の密度が濃くてとても素敵です。レコメン!

告知③

バックバンド”合奏”の一員として関わらせてもらっている折坂悠太さんが、過去のライブ録音を計20曲収録したアルバム『暁のわたし Rec2013-2019』をリリースするそうです。売り上げは「主に、活動初期に自主企画を開催したお店、ツアーを共に歩んだ個人イベンターさん」に渡されるとのことで、この状況下における行いとして本当に尊敬しています。

http://orisakayuta.jp/akatsuki/

自分が参加している曲も3曲入っているので嬉しいところ。自分が折坂バンドに入る前に観てすごく感動した橋の下世界音楽祭2018でのアクト2曲も収録されていたり、相当聴きごたえのあるアルバムになっている予感BINGBING。折坂さんの放つ浪漫色の妖気は実演の中でこそヒリヒリ感じられるようにも思うので、気になった方はぜひチェックです。しかし「ライブ録音」って結構特殊なものですね、結果的に完全ライブにも完全録音にもない肌触りがそこに。

これは今日聴いてめちゃめちゃ感動した曲。すごい。

6/13朝の夢

昏倒するように二度寝して見た夢
場所は愛知ということだけはわかっている。名古屋じゃない市で、市の具体的な名前も出ていたが忘れた。
何かの催しで出会った眼鏡をかけた女性の住んでいる団地(実家らしい)に行く。自分一人ではなく、沢山の仲間たちがいたのだが誰だったのかは不明(愉快な仲間たち、という呼称が似合う賑やかさだった)。
団地であることは間違いないんだけど、一部屋の中心に大きい廊下があってその左右にいくつも扉があって、それを開くと個室だったり風呂だったりトイレだったり、というホテルの廊下部分と家が奇妙に混ざり合ったようなものが「一部屋」として割り与えられていた。それはすごく豪華に見えた。
部屋は全体としてとても広く、変な飾りのついた高級感のあるソファとかもあった。一方で風呂などは非常に古びていて恐らく築年数相応に汚い。プールのシャワー室みたいなシャワーとバスタブの間に仕切りがあって、お互い独立してる風合いだったのが印象的。あとシャワー室の中にトイレがあって、工夫しないと浴びてる時便器濡れるなと思った。
みんなずっと騒いでいて、途中で眼鏡女性のお父さんみたいな人がトイレか何かで起きてきたのを見て気まずい思いをした。眼鏡女性はだいぶおとなしい人で、でもあっけらかんとしていたので騒いでるのとかは全然気にしていなかった。騒いでいた時の話題とかは忘れてしまったが、初対面の人の家で騒いでいることへの気まずさと、ワイワイドタバタすることの楽しさが両方あった。
団地の外見から想像される狭さと実際の広さのギャップが凄まじかった。最後の方でなぜか廊下が部屋を突き抜けてそのままレストランに繋がっていることがわかった。つまり団地と聞いて想像されるような部屋の区割りではなく、ひたすらでかい廊下があって、それがある長さで区切られて「一部屋」というか、領有権のあるエリアを構成している。つまり、その部屋においては大きな意味での玄関口はなく、ヌルッと「ここからが〜さんの部屋」という風に分かれている。
そういうことで、廊下を歩いているとまたヌルッと眼鏡女性の「部屋」を抜けて別の部分に繋がっていて、朝食バイキングをやっているレストランのと所に出た。時間は10:57で、めちゃくちゃ怖い支配人ぽい人が「11時で終わりだから!片付けだから!」みたいなことを言って働き手を急かしている。レストラン入り口のあたりで皿から直にものを取って食べている人がいて、その人が、まだ時間あるから食べちゃいなよと言ってきたので自分も野生的に直取りで食べた。紫玉ねぎを使ったパン料理があったのだけ覚えてる。おいしかったが味は覚えていない。感覚だけが記憶にある。
全体的に白くて、曇っていた。それが結構心地よくて、何かがなつかしかった。

6月初旬の告知×4

告知①

5/27から配信になったYOTOWNというバンドの新曲”Out of the Blue”で打楽器類を叩かせてもらいました。間違いなくどんどん進化していて、様々な参照元に対する尊敬だけでなく自分たちのエキスがにじみ出るようなものを生み出している人たち、この前の曲もすごく良かったですが今回も素敵です。サビで安易に上がらない独自の温度感が肝なのではと個人的に思っています。ぜひお聴きください。アップルミュー軸にもあるです。https://open.spotify.com/track/4VXNKoaGoDGUaaAQV7wMkK?si=YMYuKpsAS_eLE6aVTk8xgw

告知②

もう明日です。6/7(日)のお昼12時から、South Penguinというバンドで先日行った無観客ライブの映像が配信されます。下北沢にこの春からオープンするはずだったLIVEHOUSEというライブハウスの配信企画です。https://t.co/53naOBn1Fh?amp=1

この状況下ですが、産業全体が完全に配信方向へと舵を切るというのはとても難しいと思っています。配信は配信、生は生というふうに切り分けて考えないと、配信はやはり生の下位互換になってしまうことが多そうです。今回の企画は配信ライブ故にできることや特長を自然な形で追求していて素敵です。パワーある映像体験になったSouth Penguinのライブをぜひお楽しみください。Highなサックスを吹いている奥住さんは高校の先輩です。よくトイレで会うだけの関係だった奥住さんと東京で再会してまた音楽ができるようになって嬉しいです。

また、South Penguinは6/14に初めての7’シングルを出します。個人的に様々なところでお世話になっているスーパーエンジニア、葛西敏彦さんの録音と毎回素晴らしい岡田拓郎さんのポスト・プロダクションでバキバキになった二曲。めちゃめちゃカッコいいボーカリストのNTsKiさんに入っていただいてマジwowな出来栄えのA面、「とてもよいコンクリート」という感覚があります。配信もされるのでぜひ。http://p-vine.jp/news/20200415-190000

ちなみにSouth Penguinはこういうバンドです。自分は戸愚呂弟をリスペクトして上裸で参加しています。https://www.youtube.com/watch?v=2OsKhofdq00

告知③ 

大学院の同級生たちが、「Alter-narratives -ありえたかもしれない物語-」と題したオンライン展覧会をやっています。本来東京芸大上野校舎の美術サイド入ってすぐ左辺りにある陳列館というところでやるはずだったそうですが、COVID-19を鑑みて電脳空間での開催になってるようです。https://alternarratives.geidai.ac.jp/

生の展覧会とは観る側の勝手も違うけど、でも意外に起こっている現象の形(何かをみたり聴いたりして何かを感じたり考えたりする)は同じだな、と思ったり、このメディア形態特有の形で向かってくる内容は面白いです。自宅を展示会場にしようとする人の映像が特に好きです。

そんな中、6/14(日)の13:00から展覧会附属のトークイベントにしゃべりマンとして出させてもらうことになりました。参加作家のyottaさんという二人組アートユニットの方とお話しする模様です。yottaさんは物凄い容姿の車を率いて焼き芋を売るというプロジェクト「金時」をずっと実践されているそうです。今回初めて知ったのですが、興味津々です。http://yotta-web.com/kintoki/

公共空間をフィールドにして妙なもの、異なるものをねじ込んでいきながらも「焼き芋を売る」という行為でもって通常と異常の間を取り持って、その上で提起を行っている(ように見える)この試みのことを中心にお話しする気がします。きっと楽しいのでぜひご覧になってください。

告知④

5/31に参加させてもらった配信型遠隔集団即興ライブ「集団即興における視聴覚の分断と再統合」のアーカイブ映像が公開されています。https://www.youtube.com/watch?v=OQS611LeyZA&feature=youtu.be

間違いなく面白い試みだったとは思うのですが、媒体の特性上あんまり集中して観られなかったり疲れてしまう方もいるかも。そういうのも含めて、「今こういうことをやってみる価値がすごくあった気がします。よければサラッとでもご覧ください。

ということで、今回以降すべての告知はHPに書き、FacebookとInstagramにそのページを載せることにします。SNSを使わないようにするには後者のプロセスも省いた上でアナログな告知手段の検討を頑張る方がいいがしかし、告知は自分のために行うというのも勿論あるけど関わる多くの人のためにやるものだという側面もあるので、そこの折り合いをつけるために一旦そういうことに。SNS内部にコミットし続けながら「このメディアは危険だ!」と叫び続けるのも効果はあると思うけど、「外側にいる人たち」を可視化する方が重要な気がするので、こうします。